8さん

火花の8さんのレビュー・感想・評価

火花(2017年製作の映画)
3.7
笑いに魅せられ、現実に阻まれ、才能に葛藤しながら、夢に向かって全力で生きる2人の10年間の青春物語を描いたドラマ作品。

若手コンビ「スパークス」としてデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永は、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と出会う。神谷は、「あほんだら」というコンビで常識の枠からはみ出た漫才を披露。その奇想な芸風と人間味に惹かれ、徳永は神谷に「弟子にして下さい!」と申し出る。神谷はそれを了承し、その代わり「俺の伝記を作って欲しい」と頼む。その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴るのだった…


『笑いながら、もがき倒した10年間。』


関西人ではないので関西弁の違和感があまり分かりませんが、全般に渡り人間臭さを感じる理想と欲望を夢見る芸人達と発せられる関西弁が違和感なく受け入れられる。関西系と関東系の芸人などというキーワードを耳にした事がある。どちらかと言えば自分は関西系の笑いを好む。漫才ブームから吉本新喜劇など、テレビを通して幼少期から笑いに触れる機会はあったので、物語が自然と受け入れられた。お笑い好きじゃなかったら、今作に触れる機会も無かったかもしれないだろう。
人気芸人達の幼少期の夢は、「お笑い芸人!」
実現出来ても食べていける程売れる人なんてほんの一握り。芸人になりたいなんてこれっぽっちも思った事はないですが、
「売れる為には、捨てなきゃいけないものもある」
と神谷が劇中で放った台詞。この言葉に彼等の追いかけた青春の数年間が凝縮されているのではないのでしょうか。あの頃、頭に描いていた未来はこんな筈じゃなかった。大輪に華やぐ花火の様に輝く筈だったのに。何かを手にする為の自己犠牲、現実そこまで甘くなく世の中に受け入れて貰えない結果に終わっても、これからの人生においてそれは無駄ではなかったと認めてくれる、夢を追いかけた事のある方やこれから夢に向かって頑張ろうとしている方などにも共感出来る作品だったと思える。
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