ノラネコの呑んで観るシネマ

北の桜守のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

北の桜守(2018年製作の映画)
2.8
樺太からの引揚者の戦後。
1971年、網走に一人暮らす吉永小百合と、アメリカで成功し札幌に戻ってきた堺雅人の息子が、親子の過去を辿る旅に出る。
そして、それはある悲しい記憶に行き着く。
滝田洋二郎は去年の「ラストレシピ」に続いて、二作連続して戦争の過去を探す物語だ。
引揚者の辿った過酷な歴史そのものはとても興味深いのだが、豊かになった71年から過去を俯瞰するだけでなく、物語の一部が演劇として表現される凝った作りが物語に没入する邪魔をする。
特に堺雅人絡みの部分が、全くリアリティが欠落していて、何度も突っ込まずにはいられない。
彼はワタミの創業者みたいな仕事至上主義者で、日本初のホットドッグ専門店を米国本社から任されている。
妻の篠原涼子がカヨコ・アン・パタースン状態なのは置いといても、ホットドッグ専門店と言いながら店舗はなぜかほぼコンビニだし、社員に「寝ずに仕事しろ」なんて偉そうなこと言ってる割に、自分は母さんに付きっ切りで全く仕事しない。
それなのに社員は忠誠を尽くしまくり、アメリカから来たカヨコ父は、仕事放ったらかしの本人と会わないままお墨付きを与える。
これほどデタラメな会社がどこにあるのかw
しかもこの部分は全然過去と絡まない。
こんな変な構造にするなら、もっと直球で良かったのではないか。
あといつも思うが、吉永小百合にちゃんと歳相応の格好をさせてあげてくれ。
もちろん本人が若々しいのだろうが、この役は苦労に苦労を重ねて、それが顔に出るくらいじゃなきゃダメだろう。
45年と71年が全く同じルックスなので、老いを全く感じない。
それなのに71年と73年では何であんなに変わるのか。
モチーフは良いのだが、色々チグハグさが目立つ。