ケンシューイ

北の桜守のケンシューイのレビュー・感想・評価

北の桜守(2018年製作の映画)
4.0
舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
監督:滝田洋二郎

『おくりびと』で世界的な賞賛を受けたこの監督も、もともとはピンク映画を撮っていたお方。そんな監督が手にした、北のシリーズ最終章。相変わらず揃いも揃ってなんて豪華なキャストだこと。主演クラスが何人いるんだよ。

ストーリー云々の前に、大胆な演出というか作風に唖然とさせられた。挑戦的でアグレッシブで、観てる側をなかなか挑発してくる。すっごく攻めてるけど、良い意味で裏切ってると思う。一般受けはしなさそうな、でも平坦ではないから気が抜けない。
舞台に、セットに、ロケも、CGも。戦争の暗い雰囲気から一転して、アメリカ文化のポップな色使いへ。長回しやったり、崖登りとかのアクションやったり、A-Studioの写真コマ送りみたいなこともやってたりして。鶴瓶さん本人も出演してるから、あれ確信犯でしょ。とにかくいろんな事やってて面白い。かと言って小手先レベルじゃないから一つ一つにちゃんと厚みと重みがある。映画にしか出来ないことをこれでもかと観せてもらえて満足。

エンドロールだけは2回見た。歌が良かったのもだけど、クレジットが本当に凄くて。こんな大掛かりな、でっかい仕事するのってどんな感じなんだろ。チキン野郎にとってはその文字見てるだけでビビってしまう。

日本アカデミー賞の作品賞にノミネートされたようで。個人的には『万引き家族』よりも良かった。でもたぶん獲らないんだろな〜。