てるる

きみの鳥はうたえるのてるるのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.5
函館を舞台に3人の男女が織り成す関係性をのんべんだらりと描き出す。

観てる間は函館ってことを忘れてて、下北とか高円寺あたりの物語だと思い込んでしまってた。

まだ20代の頃に、そのあたりで友人たちと朝まで飲んではダラダラ過ごした日々を思い出した。

あの生活は楽しかったけど、心のどこかには常に漠然とした不安や鬱屈した気持ちを抱えてた気がする。

だから「僕」と静雄の気持ちが何となく分かるというか、たぶんあの頃に観てたらぶっ刺さったかもしれない。

でも今観ても共感は出来ないし、あの頃の自分を差し置いて、「もう少しちゃんとしようか」と言いたくもなる。

思うに、あの本屋の店長も「僕」に対して昔の自分を重ねつつ、でもしっかりして欲しかったのかもしれない。

「僕」を演じる柄本佑はそれこそ「こういう人いたなー」という空気感をまとっていて、演技なのか素なのか分からなくなるほど。

染谷将太、石橋静河も、青春というには微妙な境界線にいる若者を上手く演じてた。

最初の120秒と最後の120秒。
この時と関係性が何時までも続けばいいのにと思いつつ、変わらずにはいられない。
世界は、それを許してくれない。
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