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きみの鳥はうたえるのatsukiのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
5.0
過激なまでに、長い。クラブでの遊戯。いつまでも続く夏の夜。次の季節はやって来ないように思える。三宅唱監督も”そこにあるかけがえのない時間の手触りみたいなものを「映画ならではの手法でどう表現するか」を考えた時に、「自分ならクラブで踊っている時間が撮れる」と思えたんです”と言ってる。しかし、タバコの件を思い返した。あの日以降、喫煙する描写がない。灰皿は溜まってるし、箱は空っぽなのに…。ついた火は消えてしまったのか。もう火がつくこともないのか。だから「生の輝き」は空気のようなものなのか。ビートルズの『And Your Bird Can Sing』のように。この胸焼けは酒のせいではない。過ぎ去っていく時間のせいだ。120秒。どうか止まってくれ。”きみの鳥はうたえる”から!But you can't hear me. つまり、僕と佐知子と静雄の青春はフィルムに焼きつけられた、と思う。彼らはスクリーンの中で踊り続けてるはず。我々が答えと匂いを探すまで…永遠に。
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