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きみの鳥はうたえるのmotoietchikaのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.8
全部の瞬間がいい。
肘をつねって待ち合わせの合図、
3人で相合傘、
クラブで踊る書店員の佐知子(石橋静河)、
カラオケで小声ハモする静雄(染谷将太)、
「おかえり」「おう、おかえり」の反復、
ずっと半笑いの静雄が母のことを誤魔化すようにくだらないことでゲラゲラ笑ってボソっと呟く「俺何やってんだ…」のやるせなさ、
「店長大好きっす、大好きっす……」、
別れ話を聞いているときの、僕(柄本佑)の顔。「静雄」の「し」を言う口の形を待っている時間の重たさ。

で、それらの瞬間全部と接続するような最後のカットでの佐知子の表情のうねり。
間違いなく映画の神様が降りている

でもそれらを狙ってやってる感じが本当にすごい。演じることの奇跡を信じていつも登場人物の表情をクロースアップする、最高の役者に密接するカメラが不思議と暑苦しさを感じさせないのは函館の空気がそうさせるからだろうか?

函館三部作のどれよりも圧倒的にいい。
今の邦画やばくない……?
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