ノラネコの呑んで観るシネマ

きみの鳥はうたえるのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.5
函館を舞台にした一夏の青春ストーリー。
アパートにルームシェアして暮らす柄本佑と染谷将太、柄本佑のバイト仲間で恋人の石橋静河の三角関係。
何か特別なことが起こるわけでもなく、三人で面白おかしく夜通し遊んでいるうちに北国の短い夏は過ぎてゆく。
一見何も変わらない。
しかし流れ行く時と、人と人との化学反応は、確実に三人の人生を進めて行く。
特に目的もなく生きて、最初は誰かが来るのをただ待っていた柄本佑が、最後には誰かを求めて走り出すまでの物語。
不思議なタイトルはビートルズの楽曲からの引用。
三人を演じる役者たちがいい。
特に軸となる柄本佑の“僕”にとって、ファムファタールである石橋静河は出色の存在感。
この人初主演作の「夜空はいつも最高密度の青色だ」でも衝撃的だったが、お父さんとお母さんのいいとこ取り。
イケメンだけど妙に色気があってエロい。
三人の若者の夏は映画と共に終わる。
たぶん彼らの関係も。
しかし血の通った登場人物たちの語られないその後は、物語の余白として広がってゆく。
本州でもそろそろ秋がはじまる。
相応しい季節に観た。