たいてぃー

きみの鳥はうたえるのたいてぃーのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.0
主演の僕役の柄本佑、絶妙な演技。がさつなようで繊細なところ、捉えられそうで捉えきれないって感じ、うまいね。三人組の他の二人、静雄役の染谷将太と佐知子役の石橋静河もいい。監督の要望でこのキャストになったとのこと。役者の実力もあるけど、キャスティングがはまっている。この三人の関係は、ドライさが目立つ。互いに無理には干渉しない。でも、僕の行動・言動がどうも引っかかって、しょうがない。
僕が勤める本屋の店長役で萩原聖人が出てくる。最近はMリーグなど麻雀でご活躍。本作では、渋い中年の魅力を表出していて好印象だし、映画にももっと出てほしいものだが。
僕の佐知子への態度がやっぱり理解できず、また原作と映画はラストが異なると聞いて、映画鑑賞後の原作読みに走ってしまった。

(以下は、ネタバレ含みです。)
原作を読んで、わかったのは舞台が1980年頃の東京近郊ってこと。映画では現代で函館。違和感があったのは、このためか。
タイトルの「君の鳥はうたえる」は、ビートルズっぽいと思ったら、小説でビートルズファンの静雄が「アンド・ユア・バード・キャン・シング」を僕のアパートへ引越した時に僕のために唄っている。この曲の和訳を読んでみたが、難しい。どことなく共通してるところがある、かな。
映画の僕のナレーションでの「静雄を通して新しい佐知子を感じることができる」は、小説でも出てくる。直接ではムリだから、他人を介したほうが新鮮味があるってこと?でも、映画のラストでは、佐知子に告白する。やっぱりよくわからない。普段は無関心を装うが、 実はセンシティブでエゴな面もあるって、多感な青年像を描いているってことでいいのかな?
小説では、静雄が母親の病状に苦しんだ末に母親を絞殺する。サスペンスが始まると思いきや、あっさりと捕まって、物語は終わる。突然の終わり方にびっくりしたが、安堵感もあった。だけど、映画の終わり方は後を引く。これが狙いなのかもしれないが・・・。