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きみの鳥はうたえるのmingoのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.0
デビュー作「やくたたず」から出演し続けている足立智充、「長浜」「八月八日」の石橋静河などは三宅唱の映画と本当に相性が良いとつくづく思う。
友人知人全員が全員この映画のこと好きだからなんでか考えたんだけど、男と女の関係性が現代的曖昧さで満たされているからだと思う。昔は結婚前提にとか外見も中身も知らなくても親の言う通りに恋愛をすっ飛ばして結婚してたりしたわけだが、現代における恋愛と言って良いのかさえわからないもののイメージを持ってして変容を遂げ続ける恋愛劇が今の若者にマッチしたからではないか、

それとやはり場所性を用いた演出は同じ北海道ロケのデビュー作やくたたずから一貫しており本作は特に道具の使い方が魅力的だった。染谷将太演じる静雄のちょっとくたびれたTシャツや石橋静河演じる佐和子のアメカジ風のチェックシャツから醸し出される20代の懐かしさ。きゅうっとこみ上げる「匂い」が観るものをあの日あの陽光の感じにいざなう。そしてやはり村上春樹の小説の主人公みたいな柄本佑の傍観者的視線があまりにも身に覚えがありすぎてオイ馬鹿かおまえはって画面に話しかけたくなる。おやじ柄本明そっくりのヨタヨタ歩きに爆笑しつつ、いつか来る別れを徐々に予感しながら友情を信じたあの日「なにかがある」わけでもなく「なにも起きない」それが今の僕ら。寝たら明日はやってくる。三宅唱凄い、アバンチュールだよ
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