ナオヤ

きみの鳥はうたえるのナオヤのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.4

青春の煌めき🎬

ストーリーは主人公3人の彼らの気ままな日常が描かれており、これといって大きな出来事は起きないので平行的な展開です。それでも今作は様々な感情が渦巻いています。若者たちの日常からは、青春の煌めきが見えてくる。しかしそれは眩い煌めきではなく“終わりの予感”です。3人ともこのままの暮らしがずっと続くなどとは思っていなく、楽しい夏が過ぎ去り、いつかこの関係性に終わりがもたらされ、やがて青春の日々が終焉を迎えることを予感しているように感じられました。その予感がスクリーン全体を終始覆い、単なるキラキラした青春映画とは異質の空気感を醸し出していて、彼らが過ごす「今」という日常がこのうえなくみずみずしく、愛おしく、切ないものに見えてきます。それが今作の最大の魅力です。そして3人の会話はアドリブのような自然な会話で、セリフに頼りすぎずに、役者の仕草や微妙な表情の変化で心の揺れ動きを繊細に描いていました。特に印象的だったのは函館の夜明けの街を夜通し遊んだ3人が歩くシーンです。いかにも青春映画らしいシーンで心に染みました。そしてラストに佐知子が見せる表情。この表情をどう解釈するか。それは観客に委ねられていますが、個人的には佐知子の決意はすでに揺るぎないものであり、二度と元に戻ることはないと確信しました。青春とはそういうもので、夏はもう終わり、彼ら前にあるのは、きっと今までとは違った道なのだと。