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きみの鳥はうたえるのkazu1961のレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.8
▪️Title : 「きみの鳥はうたえる」
Original Title :※※※
▪️First Release Year:2018
▪️JP Release Date :2018/09/01
▪️Production Country:日本
🏆Main Awards :※※※
🕰Running Time:106分
▪️Appreciation Record :2020-287
▪️My Review
最初から、ずっと終わりの予感を感じさせる、自然なのに日常なのに。。。素晴らしい演出だと思います。
そう、映画全体を包むのは“終わりの予感”です。「僕」も静雄も佐知子も、このままの暮らしがずっと続くなどとは思っていないよう。。楽しい夏が過ぎ去り、いつかこの関係性に終わりがもたらされ、やがて青春の日々が終りを迎えることを予感しているように感じられます。
「僕」と静雄と佐知子の気ままな日常が描かれています。これといって大きな出来事は起きません。大仰な描写もまったくありません。だが、そこには様々な感情が渦巻いているんですよね。
3人の会話は、まるでアドリブのような自然な会話です。まるで演技をしてるのではなく日常のように。アップを多用しつつも、時にはセオリーをはずしたようなカメラワークも面白いです。三宅唱監督は、セリフに頼りすぎずに、役者のしぐさや微妙な表情の変化で心の揺れ動きを繊細に描いています。
本作は、『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』 『オーバー・フェンス』 の原作者・佐藤泰志の小説を映画化した青春ドラマです。『THE COCKPIT』などの三宅唱が監督を務め、函館市郊外の書店を軸に1人の女性と2人の男性が織り成す人間模様を映し出しています。原作は東京が舞台ですが、映画では過去作同様に函館に舞台を移しています。また、時代も現在に変更しているため、スマホやラップ音楽といった原作の執筆時にはなかったものもたくさん登場させていますね。
そして見どころは何と言っても若手実力派俳優の共演。『素敵なダイナマイトスキャンダル』などの柄本佑と『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』などの石橋静河、『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』などの染谷将太らが共演。期待の若手俳優のみずみずしい演技は、素晴らしい輝きです。
物語は。。。
失業中の静雄(染谷将太)は、函館市の郊外にある書店に勤める僕(柄本佑)と同居していました。ある日僕は、ひょんなことから同僚の佐知子(石橋静河)と一夜を共にします。その日を境に佐知子は毎晩のように静雄たちのアパートを訪れるようになり、三人は酒を飲みながら楽しく過ごしていました。静雄は、キャンプに行こうと僕を誘うが断られてしまい、佐知子と二人で行くことになります。。。
3人が過ごす何気ない日々をかけがえのないきらめきとともに描き、そして函館の街の匂い、夏の光をそのままに打ち出し、素晴らしい青春映画です。
しかし素晴らしいエンディング。。。その先は。。。

▪️Overview
「そこのみにて光輝く」などで知られる作家・佐藤泰志の同名小説を、柄本佑、染谷将太、石橋静河ら若手実力派俳優の共演で映画化した青春ドラマ。原作の舞台を東京から函館へ移して大胆に翻案し、「Playback」などの新鋭・三宅唱監督がメガホンをとった。函館郊外の書店で働く“僕”と、一緒に暮らす失業中の静雄、“僕”の同僚である佐知子の3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う。微妙なバランスの中で成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感とともにあった。主人公“僕”を柄本、友人・静雄を染谷、ふたりの男の間で揺れ動くヒロイン・佐知子を「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で注目された石橋がそれぞれ演じる。(引用:映画.com)

第92回キネマ旬報ベスト・テン 、主演男優賞(柄本佑)、日本映画ベスト・テン第3位。
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