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きみの鳥はうたえるのyumeayuのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.5
"120秒"

朝日が昇る時間。
人影もまばら。スズメがチュンチュンと鳴く。
少しの眠気と、飲み過ぎたせいか胃のあたりが重たい…。
生産性のない時間を過ごした日の朝。仲間と家路に着く名残惜しい瞬間…。
こういうモラトリアム映画大好きです。
飲んで、クラブとダーツと卓球とビリヤードにカラオケって、いつの時代もやることは変わらないな…。


何事にも無関心、無頓着な"僕"。
ニートの静雄、ちょっと恋愛体質っ気のある佐知子。
作品自体はほんとに何の起伏もなく、ただダラダラと過ごす3人の若者の姿を写す。この自由気ままで奇妙な関係は、青春を謳歌するようなキラメキを感じさせる一方で、どこか危うさも感じさせる。
3人とも好き勝手に生きる毎日がいつまでも続くわけもないと感じてる一方で、何をすべきか、どこへ向かうべきかわからない日々を過ごしている。

そんな、常に"終わり"を予感させる中で描かれる彼らの"今"をどう感じるかで、今作の評価は別れそう。
ドラマチックさは皆無なので、面白いかと言われれば微妙。だけど登場人物に少しでもシンクロできる部分があれば、かなりグッとくる作品だと思います。
20代前半あたりに社会に属せず、ただ何となくダラっと過ごしてた人にはピンポイントで刺さると思います(笑)。

ただ個人的に好きな登場人物は主人公のバイト先である書店の店長。とにかく店長の疲れ具合がやばい。
遅刻や無欠勤をする主人公に対しても感情的にならず大人の対応を見せる。

これって責任とは無縁で感情のままに生きる主人公との対比なのか?
どちらかというと、適当に生きている主人公たちより、今となっては店長のほうに共感できたり…。

まぁ、そんな気持ちを抱きつつも、主人公ら3人をどこか懐かしい気持ちで見て、あの頃の自分を重ねているってことは、自分が大人になったって証なのか??

あぁー歳取ったな…。
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