このレビューはネタバレを含みます
グリム童話の『手なしむすめ』がベースにあるらしいのですが、私の知らない物語でした。
"手なし"と聞くだけで残酷な内容なのだと想像がつきますが…
監督自らの筆で描かれた映像にどんどん引き込まれていきました。
どこの国、いつの時代であるともわからない世界、
中東、アジア、ヨーロッパ、日本とも取れる画風に少し懐かしさも感じ、静かでありながら残酷なストーリーとリアルな現実、少しファンタジーも折り込まれた素晴らしさにどっぷりハマってしまった。
私は主人公、娘の生きざまに凄く共感した、
最初はぼぉ〜とした女の子かと思っていたら、いやいや悪魔にまんまと騙される馬鹿な父親とは大違い、
自分の居場所を見つけ出そうと強くたくましく、前向きに生きていく行動力に感動。
最初はこぢんまりとした内容かと思いきや、力強い筆力で描かれたスペクタクルな世界がラストに向かってどんどん広がっていく、なんだかワクワクした。
そして、ラストの終わり方がとても良い、
安住の場所に戻るのではなく、新しく家族の場所を探しに行こうと言う、保守的ではない娘の考えに心打たれた。
通常のグリム童話の様に、幸せになりましたとさ、ちゃんちゃん。
な、エンディングではない新しいお姫様像だなぁ〜って思った作品でした。