しゅん

大人のためのグリム童話 手をなくした少女のしゅんのレビュー・感想・評価

4.0
単色の集合(ひとつの物体、例えば木や人物がほとんど必ず一色で描かれる)をアニメートさせながら輪郭線を揺らし続ける、色彩と線が別のレイヤーに描かれているという手法はなかなか観たことがなく、その視覚印象にまず惚れ込む。そして音。高い音が恐怖感を醸し出す分、安心感は低い音で表される。たとえば水車から水が落ちる音はピチャっではなくポトっである。ミュートとアルペジオで主に作られるギター音(ぼくはブロンドレッドヘッドを想起した)が中音、不安と穏やかさ、悪魔と精霊の間にあるエモーションと連動する。この音楽がひたすら短調であることで全体のトーンな決定される。単純な言い方をすれば、視覚にも聴覚にも注意が払われており、感性を刺激するに十二分な仕上がり。

排泄や性行為表現の直裁さ(母子で💩するシーン好き)も忘れがたいが、そのリアリティが最後で裏切られるところもいい。虚無のまん丸に帰っていくシーンは、意識化に現れた世界の感触が再び無意識に戻っていくかのよう。
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