菩薩

初恋とナポリタンの菩薩のレビュー・感想・評価

初恋とナポリタン(2016年製作の映画)
4.0
R-18版とは随分と趣旨が違うらしいけど、R-15版ははっきり言って全くピンク映画では無いし、もう少しおっぱいと濡れ場削れば余裕で単館上映くらい行けるし、むしろそれも除いてドラマ部分だけ抽出すれば地上波行ける。過去のトラウマのせいで新しい恋に踏み出せない主人公、1人じゃ何も出来ない旦那に「おい」と呼ばれるだけの変わらない日常に飽き飽きし不倫に励む友人、東京で夢破れ1人の男に愛される事を拒絶しその日限りの関係をただ続けるだけの同僚、三者三様、変われない・変わらない・変わってしまった女たちが「変わりたい」を求めて女としての瀬戸際で少しだけ後ろを振り返り、そして一歩だけ前に進み出す。埼玉深谷を舞台にした女性の群像劇、ローカルムービーとしても有能だし、それこそテーマ性といい『ディアーディアー』に匹敵する出来。場内にひしめくおっさんどもがまさかのきゅん死に追い込まれる甘辛く切ない展開、ベタではあるけどこれがよく分かってしまう俺はおそらく後10年したらババァに転生する。上映後のトークショーで生のしじみさんをお見かけしたが、トーク内容といい劇中とは打って変わった溌剌とした笑顔といい、俺は今ナポリタンよりしじみ汁を飲みたい、いや啜りたい。
菩薩

菩薩