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マザー!のkouのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
5.0
《motherとは何か》
日本未公開という事でとても残念に思っていたのだが、今回Filmarksの試写会で鑑賞することができた。とても衝撃的な内容で、後半は酷い悪夢を見ているような感覚だった。息を吞むような展開が次々に続き、加速的に物語が進んでいく。

物語はある夫婦の家の元に訪問者が現れるとことから始まる。訪問者たちの屋敷での行動はエスカレートし、次々に人がやってきては、家が壊されていく。登場人物や出来事はすべてメタファーであり、観る人によってその解釈は変わっていく。ただの夫婦の話、ではなく聖書からの引用が数多くある。

ダーレン・アロノフスキー監督は、今作を天地創造の6日目と考えてほしいと言っている。そう考えると、ジェニファー・ローレンス演じるmotherが何なのか、彼女が作っている屋敷とは何なのか。そして、初めに出てくる男女とは何なのか。次第に増えていく訪問客とは何なのかという事がわかってくる。

主人公を追い込む、悲劇的な映画だ。しかし、問題になったであろうシーンも主人公が受ける数多くの悲劇も比喩として使われている。決して映画のショッキングさだけで終わらない、重厚な作品だと思う。鑑賞後もずっと今作について考え続けてしまう、そんな素晴らしい映画だと思う。賛否両論があるようだが、僕は大傑作だと思った。
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