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マザー!のoomeのネタバレレビュー・内容・結末

マザー!(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ぐう、くるしい。

首を絞められているようなループ作品。
果たして今は何回目かのやり直し中なのでしょうか。
燃やし尽くされる日も近しと、
そんなマザーの怒りをひしひしと感じます。

詩人と奥様の住む、
一軒の静かな邸宅であったはずが、
場面が切り替わるにつれ秘境のようになり、
戦場にまでなったりする描写、
とてもうまいなと。
静寂から混乱への移行がわずかな時間しかないのにスムーズ。
と、同時にゆっくりとした劣化もある。

赤の他人が、遠慮なく家に来ては
部屋という部屋に入り記念と言って削ったり破壊したりものを持ち帰ったり
カオス!まさにカオス!!
人間の自己本位さと、
混沌と暴力がすさまじい。
そしてなにより不快感。
こんなにも異物なのかと。

中でも一番最初のカップルと、
2人の息子の話は
聖書を読んだことがないと恐らく分からない。
地球で最初に起きた殺人と言われているカインとアベルの出来事。
流された血が染み込んだ床板がゆっくりと朽ちていくのがまたぞくりとする。

とにかく人間というゲストが、
いかにマザーにとって迷惑な存在かと。
有害で汚らわしいかと。
異物なのかと。
そこまでなのかと。

そして、詩人の旦那氏が
寛容すぎてクレイジー。いくらでも他人を招き入れる。嫁の話聞かない。自分の子を殺されても許してあげてほしいとマザーを説得するほど。ただしその好意は瞬く間に砕かれるのみ。

この受け止めきれないすさまじさに
かなり圧倒されたし、
文字通り子がくだかれるシーンには、
意味は知ってはいても胸が痛かった。

この映画を見て、宗教心があるなら
何か行動に移せるのかもしれないし、
思い改めたりする部分もあるのかもしれないけど、
生まれ落ちた私たちは
この地球の恩恵にあやかって生きていくしかないわけで、
首ガツンとされたような、
そんなタイプの映画でした。

ちょっと探せば聖書で解説されてますけど
それより、普通にどんな解釈されるのかも気になるところです。
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