ハッピーアイスクリーム

マザー!のハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
4.6
ある日、郊外の大きな家で暮らす夫婦の元に現れた見知らぬ訪問者。その訪問者を夫が招き入れたことから始まる悪夢のような出来事を描いた作品。破壊と創造。

日本での公開が中止となり、アメリカでも賛否が激しく割れた問題作。聖書をモチーフにしているらしいけど、かなりタブーに触れている気がします。
脚本を受け取ったスタッフが監督の精神状態を心配して電話したのも納得。終始不快感を煽り、日常から次第に現実離れした混沌とした世界になっていく。

正気とは思えないけど、作品の根底に一貫してある人間の感情の真理みたいなのにどんどん引き込まれていった。
普段の生活で他人と接する時に感じるようなリアルな不快感から、社会とか人間そのものに対する違和感、気持ち悪さを見事に表現してる。
特に終盤に起きる残虐な出来事。被害者とその身内の気持ちそっちのけで悲劇を美化するあの感じ。実際あるなって、胸糞悪かった。

あと物語の重要な意味を持つ家の構造が素晴らしい。迷路みたいに複雑なのにほぼ行き止まりのない構造が終盤の展開で発揮されていて、すごく綿密に設計されたのがよくわかる。

“ここを楽園にするの”
“私は黙示録の後始末をするわ”
“私は私だ 君は家だ”

あまりオススメはしないけど、観た人がそれぞれどう感じたか知りたくなるような映画でした。