わたふぁ

マザー!のわたふぁのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
4.0
すごいものを見てしまった感。見終わってから3日が経って、ジワること山の如し。

一見すると長〜い悪夢のようだけど、聖書の内容を天地創造から暗喩した宗教寓話を描いている今作。この程度の映像の胸クソ具合では公開中止にはならないと思うけど、宗教的タブーに激突していった内容のため賛否両論が巻き起こった。
それを最初から2400館で全米公開に踏み切ったパラマウント。「爆弾のように投下し、皆に見てもらい、感じて議論してほしかった」とのことで、アメリカってマジすげーと思う。さすがディベート文化が発達した国。

今作は、そういう宗教的な観点のほかに、今、地球上で起きている環境問題や社会問題の暗喩も含まれている。
よく120分少々の短時間に、それら何百年〜何千年の歴史を凝縮し、“一軒の家”の中に、万物の神やらアダム&イブ、イエス・キリスト、そして我々人類をぶち込んだなと思う。

壮大かつ大胆な問題作だけど、今までで一番好きなダーレン・アノロフスキーに出会えた気がする。
一人のひとの聖書の解釈を表面化して、映画としてパッケージし、みんなでそれについて悶々と考えることができるというのは、とてもいい時間だと思う。戦争をして地球を穴ぼこだらけにするより、よっぽど。