現在は生放送で感想中の丈兄丸

マザー!の現在は生放送で感想中の丈兄丸のレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
3.4
ナタリー・ポートマン主演にして、ある意味で彼女の女優歴も塗り替えた傑作「ブラック・スワン」の奇才ダーレン・アロノフスキー監督最新作。
本国では賛否も激しい衝撃作として、日本では公開も見送れてしまった話題にして問題作が、準新作でTSUTAYAアプリのクーポンで100円で借りられたので鑑賞。

私自身、アロノフスキー監督作はブラック・スワンしか見ていないが、
それだけでも十分に監督らしさを感じれるショット構成とカメラワークの数々。
しかも今回はのっけから割りと激しいのが続くので、特段三半規管が弱くない自分でも、ちょっと酔いそうになるほど激しいものだったし、
内容も我々の等身大の世界観かと思いきや、進むほどブラック・スワンの比じゃないほど抽象…というかカオスな展開に、観客に正面向かって『さぁ、気分を害せ』と言わんばかりの不快なシーン・演出のオンパレードで、そらぁ本国観客たちに大ブーイングされるのも納得せざるを得ないと思った(笑)

ただ、素人目でも、その訴えてくるものには確かな熱量があり、それが画面や、描かれてない部分までの作り込みにどこか飲まれてしまうものがあり、芸術弱者な自分が予習もせず見た結果、この作品が表現したかったことはほとんどピンとこなかったにも関わらず、しかし今作にしかない・そしてアノロフスキー監督にしか作れない、独特なことに間違いないものを見れた感に浸れてしまう喜び・余韻はしっかり味わえた。

後に直インタビューによる簡単な解説等を見て、今作が描いていたメッセージも大いに納得。
ただそれだけの衝撃内容なのに、イマイチこの微妙なスコアを付けざるをえなかった要因は、
酔いそうとはいえ、まさにこれこそ劇場で見るべきタイプの作品だけに、テレビで見ると後半のカオスさも一周して笑いに転じてしまった自分がいたので、
単館等こそ是非、こういった作品をもっともっと劇場でやってほしいとも思う一作になってしまったのが残念。

ただ売上が芳しくなかったからといって、今年を振り返るラインナップから外すにはあまりにも惜しい、
好きにせよ嫌いにせよ、少なからず今年の映画史には外せない一作だった。