よもぎ

マザー!のよもぎのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
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これは凄い。凄まじく厭だ。正に「観る不快感」って感じの映画。全編通して圧倒的不快感。
女性が感じるありとあらゆる痛みと苦痛をこれでもかと詰め込んだ様な映画。
こんな悪夢の様な映画が撮れる監督は本当に賞賛に値すると思う。脱帽。拍手。凄い。

愛も厚意も搾取されていく。
大事な居場所は無遠慮に踏み躙られ奪われ破壊され、嘆願は聞き流され、存在は無視される。ボロボロになった彼女の犠牲は彼への賞賛に擦り変わる。
彼は犠牲を払わない。変わらない。何故なら「彼は彼」だから。父にも夫にもならない。そんな存在を愛する事により展開される地獄絵図。

後半に進むに連れて宗教色が濃くなっていく。この作品の意味する所が分かる。
自分に向けられる目だけを見て、自分を愛する者全てを愛する存在が彼だ。彼は彼女を見ない。その痛みに気付かない。彼女自身ではなく、彼女の自分への愛だけが必要なのだ。
そうしてまた彼女は全てを奪われ燃え尽きて、灰の中に唯一残った愛だけが彼の部屋に飾られる。
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