とれクラ

マザー!のとれクラのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
5.0
神と人類に対してメタい。

本当にめっちゃ超壮大スーパースペクタクル作品でした。 ホラーとしても普通に怖いですが、環境問題に対してかなり道徳的な作品です。とんでもなく自省的な心の持ち主じゃないと、こんな作品作れないと思います。自分達の攻撃性の無自覚ぶりにハッとさせられます。地球と神擬人化作品としてまじブラボーです。

というか、宗教批判や人間の環境破壊、資源の過剰消費を、めちゃめちゃ比喩して難解ホラー映画にまでしてやんわりと描写してるのに、それでも公開の規制がかかることに驚きました。でもたしかに、自分がこの作品を出す立場なら、色々な国や政治団体や宗教団体を敵に回しそうでこわいと思います。
それほどに私達の生活は、環境破壊によって守られていると思います。
日本人は無宗教といえど、西洋の宗教をベースにした西洋哲学の思想のもとに文明を消費しているので、勉強と反省になると思います。
人間は愚かだと思いました。神に赦しを乞うよりも、住み分けと罪の自覚をして生きた方がいいと思いました。最後に神が言った通り、人間が満たされることはないので、潜在的に人間は破壊しかできないんだろうなあと思いました。

私達は、何かを傷つけることから逃れられませんし、そうしないと生きていけません。「エコ」とか「環境に優しく」とか意識しても、自分達の破壊行動からは逃れられません。この映画だって制作過程で何らかの資源は必ず消費していますし、観るだけで電気エネルギーを消費しています。
けれど、自分達人間の攻撃性について、決して開き直らない、正当化しない姿勢がクールです。

あと、ホラーとしての怖いのは、観る側が地球に人権を見出だしているからだと思います。当たり前の感覚ですが、食用の牛とか、葉っぱとかに人権を見いだしてないですし、、。民俗紛争とか人種差別の問題とか胸が痛みますが、人権を当てはめない範囲が人間にまで延びてるだけで、基本的に自分達の感覚がナチスとかと変わらないのかと思うと、本当にこわいです。

日大のアメフト部のやつとかmetoo運動とかで思いましたが、自分の攻撃性の無自覚はやっかいです。もっと人権について勉強したいなあと思いました。
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