甲子園の魔王

ハウス・ジャック・ビルトの甲子園の魔王のネタバレレビュー・内容・結末

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

最悪のザ・ベストハウス123。
don't you come back no more‼︎
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Mr.洗練を名乗る殺人鬼ジャックの人生を彼が無作為に選んだ5つのエピソードから紐解き、冥府への導者ヴァージとの対話とカタバシスよって締め括る。
恥を恐れずに言わせてもらえば…む、むじゅかしいよぅ…。宗教学にも哲学にも建築学にも西洋史にも芸術史にも明るくない(まるで他の分野には明るいような言い方)、黒い光すら差し込まない暗闇の住人をイジめるような、久しぶりにまぶたの重くなる作りだった。
いや説話みたいなパートも面白くないって事はないが、映画という受動的に浴びるしかない媒体には相応のエンタメ性を求めてしまうので、それを意図的に排除したような作風は肌に合わなかった。やっぱり俺は『クレヨンしんちゃん暗黒タマタマ大追跡』でも観て「お楽しみ袋付きケツだけ星人ってなんやねんドワッハッハ!!」とアホヅラ晒して笑っている方が性に合っているなと痛感した。おれは!!!弱いっ!!!

“ゾッとするほど魅力的”というコピーが添えられているが、倫理観を抜きにしても正直あまり魅力的な主人公とは言えなかった。内なる強迫観念と潔癖症と闘っていた最初の頃はまだ人間的な弱さがチャーミングといえばチャーミングだったが、めちゃすぐ克服するやんけコイツ強。

家族をハンティングする場面も昔の自分だったら胸糞は胸糞として消化できたんだろうけど、今はストレートな意味で嫌な気分になってしまう。男も良い、女も良い、老人も良い。だがこのくらいの子供はやめておけ。よくキャンプ場だのビーチだので殺されがちなティーンエイジャーなら良い。一番良い。

『ジャックのたてた家(This Is the House That Jack Built)』という積み上げ歌がモチーフらしい。積み上げ歌とは歌詞を一行ずつ付け足していく歌のことで、日本語の文章はうしろの方に意味を付け足していくけど英語の場合は前にくるからどんどん積み上げるように歌詞が増えていく。全然知らなかったけどこれアレだ!小さい頃好きだった『これはのみのぴこ』って絵本と同じ構造だ!こんなところで再会したくなかったぞ、ぴこ。
甲子園の魔王

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