KnightsofOdessa

ハウス・ジャック・ビルトのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.0
[露悪的で楽しく美しい映画だが…] 80点

ヒトラー擁護発言からカンヌを追い出されたトリアーのカンヌ復帰作であり最新作。「メランコリア」と「サマリア」を鬱映画として掲げる身としては、トリアーの最新作で笑える日が来るとは思いもしなかった。それは、強迫性障害の殺人鬼の告白が単純に面白いからであり、露悪的なトリアー映画を楽しめるくらいもっとへんちくりんな映画を沢山見たんだという謎の自信からであり云々。個人的にはジャックがボブ・ディランの『Subterranean Homesick Blues』のパロディやってるとこが何回見ても笑えた。

要は建築だの音楽だのワインだのを引用して自身の殺人を正当化しようとする殺人鬼の年代記であるのだが、意外にも殺人の場面や死体そのものを映す場面は少ない。その分、終盤に訪れる死体の家のシーンは予想がつくがそれでも衝撃的ではあった。しかし、エピローグでの失速感が凄まじく、全体の印象が薄まってしまった。三章四章が神がかり的に面白かっただけに残念である。

何回かククリンスキーが言及されてたけど、全然関係なかったね。
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