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ハウス・ジャック・ビルトの03のレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
2.8
普通にめちゃくちゃ面白かったけど私の中の倫理が星3以上をつけるなと訴えてくる…。
終始めちゃくちゃ不愉快だけどそれを上回る圧倒的映画撮るの爆うまオモロ力で情緒がぐちゃぐちゃになる。殺人の話なはずなのにそっちより、途中で挟まれるヴァージとの問答がめちゃくちゃ面白いので結果殺人のエグさすら霞む。
あれやこれやと芸術や精神について語って自分の殺人歴を美化しようとしてるけど、問答によって見えてくるのはひたすら極めて個人的な精神の疾患、情緒の欠落、女性蔑視で、語れば語るほどいかに矮小でくだらない欲望で動かされているかが逆にあぶり出されていく構成が面白い。ただし監督が主人公に自分を重ねているならばまだ生ぬるいけど。
どこまで行っても暴力は、呆れるほど身勝手で自己中心的な精神の上で行われているということが、主人公を見ているとよくわかる。最後に建てた家の滑稽さよ…。
ラスト15分がめちゃめちゃに面白いので、むしろそれまでは振りじゃんねと思った。ダンテの新曲のように地獄巡りするのも、楽園が秩序だった美しさなのが明らかに主人公の個人的に大切にしている美徳から来ているのも興味深かった。長くても観れちゃうからほんと映画撮るのうまってなるけど、二回はみないかな。
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