マシュウ

オールド・ボーイのマシュウのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
4.3
"私は獣にも劣る人間ですが生きる権利はあるんじゃありませんか?"チェ・ミンシクの演技が鬼気迫るものだった。

廊下でのアクションが特に印象に残っていて、主人公は完全無敵というわけではなく敵からのリンチをしっかり受けながら薙ぎ倒していくという見せ方が良かった。傷を負うことと復讐の相関がしっかり描かれている気がするから。

ラストシーンでは雪が積もった景色が映るが「ファーゴ」や「ブレードランナー2049」などを思い出し感慨深くなる。"冬"や"雪"というのはわたしにとって重要なシンボルだ。過去と結びつき記憶を呼び覚ますと同時にこれから来たる春に向けて変化しようとしていることを示唆しているようだ。

宗教学者の島田裕巳氏曰く通過儀礼は分離→移行→結合の段階で行われる。オールドボーイの雪が降る中のラストシーンは"結合"にあたり、2人はまさに生まれ変わるところで映画は終わる。近親相姦が禁忌である場所を飛び出し、2人だけの世界で愛し合いながら生きていけるのだ。
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