Melko

ピザ!のMelkoのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
3.6
「スラムの前に店を出すなんて、バカにしてる」

可愛くて芯の強い兄弟2人の、あくなきピザへの挑戦。

子どもは興味のあることに一直線で、執着心もすごい。
サラサラなカレーの日々から、カラフルで美味しそうな匂いのするピザと出会い、ピザを食べるために悪戦苦闘。
カラスの卵は盗んで食べ、石炭は少しちょろまかしたものの、ピザを買うお金のために、幼いながら彼らは盗みはしない。余ったピザも、もらわない。
ピザは、ちゃんと自分で働いて稼いだお金で買う!小さな体であっちこっち行って汗だくになって働く。少しずつ貯まるお金。
大金を手に勇んでトライするも、容赦ない門前払い。
じゃあどうしたら店に入れるのか、幼い頭で考える。新しい服を着て、体を洗って綺麗にする。これならいけるだろう!と再びピザ屋へ。

それなのに……

スラムの目の前に店を出し、そこに住む人々が買えない金額でピザを売るなんて、たしかにバカにしてる。ナメてる。
涼しい店内でピザを食べる金持ちの少年と、学校に行けず遊びを我慢して、身を粉にして働く兄弟で、何が違うのか。

踊らず、爽やかでそれでいてしっとりとしたインド映画も、たまには良い。
小気味いい音楽。
兄弟のキラキラした笑顔や哀愁の表情が圧巻。特に、お店を建てるために遊び場の木が切られるところの弟の悲しそうな伏し目や、
「ちゃんと自分たちで稼いで、お金貯めてピザ買うんだ」という兄の決意に満ちた目、
新しい服を着て嬉しそうに歩く兄弟の姿
が印象的だった。
ちょっぴり疲れ気味のママとおばあちゃんとの4人暮らしもほのぼのして、貧しさなんて忘れてしまう。テレビも見れるし。笑

終盤の展開が少し助長だし、一気に登場人物増えすぎてちょっと萎えたけど、兄弟が交わした最後の会話が全て。
子どもには小手先の繕いは通用しないことを示していてスカッとしたけど、心残りも。。……おばあちゃんのドーサ、ちゃんと食べてあげて欲しかったな…
後悔するなよ〜〜〜?
Melko

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