TS

ヒトラーの野望のTSのレビュー・感想・評価

ヒトラーの野望(1945年製作の映画)
3.7
【ファシズムの脅威】78点
ーーーーーーーーーーーーー
監督:フランク・キャプラ
製作国:アメリカ
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:52分
ーーーーーーーーーーーーー
資料的価値のあるドキュメンタリー映画だと思います。第二次世界大戦を引き起こしたファシズム、つまりドイツ、イタリア、日本の動向を追う作品であり、監督の解説が中心になっているためやや偏ってるかもしれませんが説得力は十分です。また、監督はあのフランク・キャプラであり、彼は兵役の経験がありなんと中佐にまで上り詰めたこともある模様。戦争を経験した彼だからこそ、ここまで説得力あるものが作れたのでしょう。

とは言えどちらかというとお勉強映画であり、第二次世界大戦の最低限の知識がないとやや退屈。また、タイトルがヒトラーの野望となっていますが、ヒトラー以外にもムッソリーニ、昭和天皇も目立っているため「ファシズムの野望」と括った方が良さそうです。連合国から見たファシズムを描いているため、良くも悪くも偏った映し方になっているかもしれませんが、やはりファシズムの思想、そして行動には恐ろしいものがあります。今でも北朝鮮がグアムにミサイルを撃つといいアメリカを牽制していますが、第二次世界大戦が勃発する以前のこの時と状況はあまり変わらない気がします。北朝鮮のニュースを見ると嫌気がさす人が多いかと思いますが、半世紀前には日本も同じようなことをしていたのです。いや、南満州鉄道爆破事件から始まり、上海事変や南京大虐殺など、時代を経ても決して許されない悪業を多く起こしてきた日本(厳密にいうと大日本帝国)の方が非人道的ではないか。
そもそも人間という生き物は罪深き生き物であるため、権力をもたせたら歴史上ろくなことをしていません。ナチスがあれほどの痛ましいことをしてきても、数世紀経てば忘れ去られ、時の権力者がまた弱者を葬っていくのです。世界史を学んでいたら、これの繰り返しということがよくわかりますのである意味うんざりさせられます。結論、人間が存在する限り真の平和なんてない。と言えそうです。

と、話がずれましたが、今作はそのファシズムの愚行を追跡していくドキュメンタリーであり、やや予備知識がないと厳しいかもしれません。そして恐ろしいことに、これを見た自分の中になんとも言えない罪悪感を感じたのは果たして幻なのでしょうか。。
TS

TS