emily

サヨナラの伝え方のemilyのレビュー・感想・評価

サヨナラの伝え方(2016年製作の映画)
3.3
 日本料理屋ですし職人の見習いとして働いてる青年ナビはマンションの隣に越してきた旅行雑誌記者のイジョンと飼い猫のヤンマと出会う。ナビには猫の中に宿る人間の魂と対話できる能力を持っており、ヤンマの中には中年女性が宿っており、猫を通して徐々に仲良くなる二人はやがて恋人通しになる。ナビの能力をイジョンは知り、ヤンマに宿る女性の秘密が明らかになっていく。

 淡い色彩、柔らかな音楽に包まれ、かわいい猫達とそこに宿る人たちの気持ちが穏やかに交差していく。ファンタジー的な設定でありながら、描くメッセージはシンプルかつハートフルで、悲しみを違う視点で見せる事で、やさしい気持ちを残してくれる。

 すべての出会いは偶然ではなく必然。それはペットだって同じである。亡くなった人を悲しみふさぎ込むより、近くに居るペットや人を通して故人が見守ってくれてると思う方が心は幾分楽になるだろう。サヨナラはサヨナラではない。見ようとすれば見えないが、心から願えば見たい物は見える。別れというテーマを柔らかなタッチで描き、悲しみ以上に深い繋がりと、視点を見せてくれることで、閉ざされた心のコリがほぐされていく気持ちになる。重いテーマなのに見終わった後自然と心が軽くなり、自分自身と重なりあう。大事な人はいつだって自分の一番近くに居てくれる。それに気が付けたなら、そのサヨナラはもっと柔らかな物になるはずだ。
emily

emily