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7Wish セブン・ウィッシュのshihoのレビュー・感想・評価

7Wish セブン・ウィッシュ(2017年製作の映画)
3.7
お上品にしたファイナル・デッドシリーズのようであり、幽霊と悪意を排除した「着信アリ」のようでもありました。

幼い頃に母親を自殺で亡くしている主人公は、ある日廃品回収(廃棄されたものから使えるものを持ってきてお金に換える?周りにはゴミ漁りと馬鹿にされている)を生業にしている父親から「誕生日プレゼント」だと言って中国文字で何か書かれた骨董品のようなものを受け取ります。

「7つの願いを叶える」という文字だけ読めた彼女は、嫌いな学校の女子の肌が腐りますようにとふざけ半分で呟きます。すると翌日、本当にそれが起こっていたのでした。「ザマァみろ!」と喜ぶがしかし、幼い頃から飼っていた愛犬が突然死してしまいます。

結論から言うと、この代物は呪いと怨念のこもったオルゴールで、一つの願いが叶う毎に願った者の身近な者の命が一人奪われるんですね。代償の犠牲者が出る時にのみオルゴールが開き不気味なメロディを奏で、閉じます。そして7つの願いを叶え終わったら、持ち主の命も持っていかれると。

オルゴール自体のつくりには少々注文をつけたいところですが(オルゴールというからにはもう少し小さく、華奢に作ってほしい。あと、メロディと音色にイマイチ魅力がない。そこ大事だろう!デザインの禍々しさも、もう少し頑張って欲しかった)、

「嫌いな奴がいなくなればいいな」とか、「好きな人が自分を好きになってくれたらいいな」とか、「お金持ちになりたい」とか。
日常の中で、最低限の文化的な生活が保証されていても、不満や嫉妬や羨望をたくさん持ってそれと付き合いながら社会生活を送っている人は多いと思います。
この作品から私が受け取った(解釈した)メッセージは『足るを知れ』という事でした。今持っているもの、与えられているものを大事にしなさいと。それに気づきなさいと。

『願いを叶えるには代償が要る』という意味合いでは、某魔法少女アニメのようでもあり、人気漫画H×Hの「アイ」にも共通するものがありました。
ストーリーの会話の中で「並行宇宙」の話が出て来ましたが、私は世の物事には摂理がある(全部パーフェクトに都合が良いなんてことはそうない)という方が納得出来るクチなので、例えばタイムスリップで言うと「アバウト・タイム」みたいなスーパーチートノーリスク能力よりも「バタフライ・エフェクト」みたいな「あっちが立てばこっちが立たず」の方が好ましい(ヤキモキするけどね笑)かなと思います。

ただこの作品は主人公側がそのオルゴールの代償ルールを知るのがかなり後なので、次々お願い事をして人が死んでも、「主人公の自分勝手さにムカつく!このバカ女!」とギリギリならないところで収まりますし(なる人はなると思うけどねw)、最後の方の主人公の挙動と時空も超えてしまうスケールの大きさ、まとめ方はかなり良かったと思います。
半分くらいまで「ま〜こんなもんか…ふ〜ん…」って観てたけど最後三分の一くらいはグッと見入ってました。
EDも凝っている(映像も、多分歌もオリジナルで作ってる)のでぜひご覧下さい。途中で続きシーンあります!

主人公の女の子は若き日のメアリー・エリザベス・ウィンステッドちゃんをちょっと芋っぽくした感じで嫌味なくてかわいかったですし、『メイズランナー』に出ているキー・ホン・リーがいい役どころだったので嬉しかったです。彼、ほんと男らしかわいいんだよねぇ♡
主人公の友達や周りの人もキャラがしっかりしてて覚えられて良かったし、美術や衣装のセンスもわりと好きでした。中国系の知人の女の子の風貌と家、すごく好きだった☆

ウェイウェイ系の音楽すぐ鳴らしたがるところが好みでなかったのと、中国由来のオルゴールとか上記した中国系女子とか、監督アジアンテイスト好きなんだろうな〜(キー・ホン・リーは洋と中のギャップの緩和剤的役割?)と思いつつ、そこらへんの調和がちょっとされていなくて、全体的にうるさかったかなという印象なのが残念ポイントです。

ただホラーシーンのセンスは悪くないし、「ホラーは好きだけどグロは嫌っ!」派の私でも「もうちょっと、もうちょっとだけやってもいいんだよ…(。・ω・。)?」ってくらいグロ描写も控えめで観やすかったと思います。

ぜひもう少し硬派でがっつりアジアンな感じでまたホラー撮って欲しいです。
想定より楽しめました!

※勢いで一気に打ったので加筆修正するかも笑
shiho

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