待ち人

最低。の待ち人のネタバレレビュー・内容・結末

最低。(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

激推し。紗倉まな原作の小説を瀬々敬久監督が映画化しているのだけれど、瀬々敬久という監督は不思議だ。誰もがタイトルを聞いたことのあるメジャー作品を何本も監督している(『感染列島』や『64』など)一方で、大正時代のアナキストを描いた『菊とギロチン』のような映画の構想を温め、クラウドファンディングで実現させている。それでいて若いころはピンク映画の帝王として名を馳せていた。私は『菊とギロチン』は興奮したが、『感染列島』ではぽかんとした。どちらがこの監督の姿なのか?そこでこの『最低。』という映画にピンク映画の帝王と言われる所以がなにがしか感じられるのではと思い鑑賞したのだが、なんとそこにまた目新しい映画があり目眩みする思い!三人の女性の生き様を、余計な台詞を削ぎ落としながら雄弁に表情で語らせ、濡場に負けず劣らずな官能的な画を繋いでいく。美しい背景のなかの三人の女優の目頭を熱くさせずにはいられない美しい顔貌。作りものじゃない、ほんとうの剥き出しの人生に触れた感触がした。参った。抱き締めるしかない映画だ。瀬々敬久、まだまだずるずる観ることになりそうだ。
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