nero

ゆれる人魚のneroのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
4.0
エロくてグロくてホラーでグランジな人魚姫ストーリー。チープでキュートでロマンティック、ジャジーでメタルでしかもミュージカル! というすべてのカテゴリーを無効化した境界全無視の変態映画(褒めてる)。 好みです! 結構ブラックな笑いも散りばめつつ展開する愛と欲と本能のダークファンタジーだ。(もっとも人間への移行手術シーンでは流石に吹き出しそうになったけど)
舞台がちょっと怪しげなナイトクラブというのも非日常的だし、耳馴染みのないポーランド語ってのが更に異界感を増幅する。 

人間に恋した人魚の最後は原典通り悲劇で終わるわけだが(ただし肉食人魚姉妹だけにやや血なまぐさい)、姉シルバーの純愛にほろり、妹ゴールデンの姉への一途さにじーん。魚類というより円口類とか両生類っぽい尾の造形が異界の生き物感を煽って新鮮だし、ぬめぬめ下半身とミスマッチの超美ーチクにはどきどきだ。ふと見せる野生生物感が生々しくっていい。
 
アグニェシュカ・スモチンスカ監督の長編デビュー作だそうだが、計算され尽くした構成とは異なる、いい意味で素人っぽさを残したインディーズっぽい雑駁さも魅力となっている。滑らかに流してしまわないところがいい。

トリトンの変身前の姿が気になったが、ひょっとして幻の2本角のイッカク?

ゴールデンはアメリカにたどり着けたのだろうか
nero

nero