モウドクウサギ

ゆれる人魚のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
4.0
シェイプ・オブ・ウォーターはメキシコの男性オタク監督、ギレルモ・デル・トロによる人魚姫アレンジといったところだが、今作はポーランドの女性監督による作。2015年本国公開らしく、作品自体はやや前で、ストーリーのベースはよりアンデルセンのオリジナルの要素が強い。そこに強烈な作家色による厚塗りがされており、ミュージカルというより、ミュージックビデオに近く、説明もかなり省かれているのは好感が持てる。
休暇のため陸に上がった人魚の姉妹は、ストリップバーでバイトをするが、姉はベーシストを好きになり、妹は本能に従い食人をしてしまう。シェイプ〜は、見た目にとらわれないヒロインから半魚人に向けられる愛情だが、今作はクズ王子様から「下半身魚じゃ、セックスできないじゃん」と言われてしまい、思い悩む。男女双方、求めるものの相違が皮肉めいて、この対比はなかなか面白い。また、オリジナル人魚姫に比べ、姉妹という点がポイントになっている。
ドラッギーで変な映画だが、ポーランド映画自体、流入も少なく、シェイプ〜と合わせて観てみてはいかがだろうか。