ロク

ゆれる人魚のロクのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

共産主義時代だった1980年代のポーランド、ナイトクラブバンドとして活動していた3人組の前に突然海から現れたシルバーとゴールドという名の美しい人魚の姉妹。彼らは物珍しさから自分達のバンドに参加させたところ美しい歌声とセクシーなダンスも相まって彼女達は一躍スターになる。しかし、好奇心旺盛な妹のゴールドがメンバーの1人である美形ベーシストに恋をしてしまったことから姉のシルバーとの関係が悪化し始めてしまい...本作はアンデルセンの「人魚姫」を基に海から陸に上がった人魚が人間に恋をしたことにより起こる悲劇をホラーミュージカルとして描いたアート性の高い作品ですが、人間になりたい人魚の気持ちと大人の女性になりたい思春期の少女の気持ちを上手くリンクさせて描いており、男性より女性の方が共感を得やすい作品だと思います。とにかくゴールドが好きになる美形ベーシストが最低な野郎で初めて恋をした彼女が想いを伝えたのに「君がいくら魅力的で僕のことが好きだと言ってくれても僕は君を魚としてしか見れない」って超冷たい言葉で突き放すわ好きになった人のために彼が好きなタバコや酒を覚えたり美しい声を失ってしまうかもしれないのに人間になれば彼が振り向いてくれると思って尻尾を切り落として人間の下半身を手に入れたりと健気に尽くすのに別の女性と結婚してしまうわと彼女に酷い仕打ちを繰り返して見ていて腹が立ちましたね。そんな酷い仕打ちを受けても笑顔で結婚する二人を祝福するゴールドの健気な姿を見ていた姉のシルバーが日の出までに彼を食い殺せば人魚の姿に戻れるっていうのに好きな人を食べることが出来ず海の泡となってしまう彼女の姿には切なくなりましたね。本作の人魚は可愛いマーメイドではなくて人間を食べてしまうセイレーンの方なのでグロな描写があるかな?と思ってたけど直接的な描写は少なくてホラー映画としては物足りない部分はありましたね~ミュージカルシーンも少し変わっていてアート系映画苦手な人は厳しいかもしれないですね。
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