グラッデン

ゆれる人魚のグラッデンのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.7
僕は君に夢中だよ

ナンカスゴイモノを見た!というインパクトは今年一番。鑑賞前の想像を遥かに超えるぶっ飛んだ作品でした。

人魚が登場するというシチュエーションは「ファンタジー」であることはもちろん、全編を通じて「ミュージカル調」で展開され、人魚の姉妹が見せる独特の「エロティシズム」を感じさせつつ、彼女たちが人に襲い掛かる場面は「ホラー」そのものでありました。

鑑賞を進めながら『スプラッシュ』、アニメ化もされた高橋留美子の漫画『人魚の森』、あるいは『シェイプ・オブ・ウォーター』、人魚(魚人)を取り扱った異なるアプローチの作品の記憶を思い起こされましたが、物語が佳境を迎えるなかで、本作のベースは、間違いなく現代の『人魚姫』であると感じさせられる内容でもありました。

また、大画面で見ることはもちろん、自宅ではまず困難な音響設備の整った映画館で見るのに相応しい映画でした。レトロっぽさをイイ感じに醸し出す建物の雰囲気、多種多様なジャンルの音楽が流れるワルシャワのナイトクラブの描写は非常に良かったです。

様々なジャンルを詰め込み、右往左往しながら進んでいる印象は受けるほど、圧倒的なカオスさを醸し出しつつも、絶妙のバランスが光る内容であったかと。後味の残るクセの強さはおススメしたいところですが、カップル向けの作品ではないことも併せてお伝えさせていただきたい(笑)