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ゆれる人魚のnanaのレビュー・感想・評価

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
3.5
ボーランド発ホラーファンタジー。
残酷で美しい、悲しい作品でした。

ワルシャワのナイトクラブ
きらびやかな店内では美女の歌や踊り、ストリップ、曲芸のようなショーが夜な夜な繰り広げられている。

そこに突如現れた二人の美女。
二人は陸に上がった人魚の姉妹。

姉は金髪のシルバー
妹は黒髪のゴールデン

彼女達はシンガーのクリシャに店に連れて来られ、「友人の子供」と支配人に紹介される。
店内の生臭い匂いを気にする支配人だが、コップの水をかけた途端に人魚に変身する姿を見た彼は歓喜し、店で働く事を提案する。

クリシャのバックコーラスで歌い、曲の間で大きなボウルに入って人魚の姿を披露する。
客は大喜び。
セクシーで歌の上手い彼女達はスターになり、芸能事務所からスカウトが来るまでに。

人間の姿で街に繰り出し、デパートに行ったり、煙草を吸ったり。
新しい生活は刺激的で楽しい事がいっぱい。
ウキウキとはしゃぐさまは普通の女の子のようだ。

姉のシルバーは気さくな性格。
妹のゴールデンは人見知り。

姉のシルバーがハンサムなバンドメンバーのミーテクに恋をする。
そこから悲劇が始まって…


人魚の身体には人間の性器が無い。
人の体になろうと手術を受け、声を失うシルバー。
歌う事も泳ぐ事も出来ない。
姉妹の間にも亀裂が入り、不幸へ突き進む。

肉食なので二人の周りで殺人事件が起き始める。
その魅力で獲物を仕留め、貪る。

カッと目を見開き、一瞬で野生に戻る表情が恐ろしい。
そこに可愛らしい人魚のイメージなど無い。獣。


そして
ひらひらと舞うような色男。
ギターピックにしていたシルバーのウロコをゴミのように扱うシーンでは心が痛んだ。

こんなに愛したのに。
人間に恋した哀れな人魚

海への戻り方が悲しく、やはり人魚は儚いと切なかった。



こちらの人魚は下半身がリアルな魚として描かれており、不機嫌になると浴槽でバタバタバタッとする姿が生々しい。

前半はミュージカルの雰囲気もあり華やか。
人魚二人とミーテクの美貌が物語の残酷さを引き立てている。
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