ずどこんちょ

ビブリア古書堂の事件手帖のずどこんちょのレビュー・感想・評価

ビブリア古書堂の事件手帖(2018年製作の映画)
2.9
しばらく前に漫画版は読みましたが、確か細かくはこういう展開ではなかったはず。大筋を基に映画のために脚色し直したのでしょう。
絹子と嘉雄の道ならぬ恋については、もっと切なくしっとりした結末のイメージだったのですが、いまいち感情移入できなかったのはもしかして東出のせいでしょうか。現実とは立場が逆のようですが、まだあの騒動があってから東出の恋愛物は余計な先入観が邪魔をしてしまいます。
お前があれこれ文学気取るな、なーんてチャチャがちょっとでも頭の片隅をよぎった時点でやっぱり俳優というのはイメージが大事なんだなぁと実感しました。

しかし、黒木華の文学オタク演技が自然で、栞子さんの本好きがちゃんと伝わってきました。ビブリア古書堂の雰囲気はとても良かったです。
「古書にはこれまでの持ち主の歴史があって、渡り歩いてきた本そのものに物語がある」という栞子さんの価値観は、本作におけるミステリーの中核となっています。
古書に残された僅かな手掛かりから持ち主が歩んできた人生を鮮やかに推理するところが、本作の見どころです。