回想シーンでご飯3杯いける

パパのお弁当は世界一の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

パパのお弁当は世界一(2017年製作の映画)
4.2
お弁当は、思いやりの形、家族の形、愛の形。お弁当映画といえば「スタンリーのお弁当箱」等のインド映画が真っ先に思い出されるけど、日本からもこんな素敵な作品が出てきて本当に嬉しい。

女子高生が父親に作ってもらった弁当をツイッターに投稿し話題になったエピソードを元にした実話物。父親役には、同じく高校生の息子に弁当を作り続けた経験を綴った本を出版しているミュージシャンの渡辺俊美さん(TOKYO No.1 SOUL SET)が大抜擢。実は彼、本作が俳優デビュー作で、だから当然初の主演!

元々は劇場公開予定も無く、ショートムービーとして作られる予定だったそうで、スタッフの大半がミュージックビデオ関連の人達で作られている。俊美さんの演技も特別に上手いわけじゃないし、撮影技術も脚本も目新しさは無いのだけれど、その素朴さに、それこそ手作りの弁当に似た味わいがあって、実に心地よい。もし阿部寛や西島秀俊だと、変に上手過ぎて、この味は出せなかったと思う。

いやー、それにしても毎日作る弁当だけで、こんなに豊かなドラマを生み出せるのかという驚きと感動。レビュー数は少ないけど、作品に携わった人達の愛が感じられる珠玉の名作だと思う。俊美さんも理想のパパ・ランキング急上昇じゃないかな。