コーディー

ナンシーのコーディーのレビュー・感想・評価

ナンシー(2018年製作の映画)
3.7
何もない私に興味を抱いてもらうキッカケとしての詐称。嘘を纏い他者との関係を築くナンシーが30年前5歳で行方不明となった娘を捜す夫婦へ〝私が娘かも〟と名乗り出る。
よく似た推定似顔絵という接点、偽りの負い目より心の充足を優先する彼女の藁にもすがる想い…割と意外性もあり好きかも。

価値を見失う彼女の唯一の自己表現であった嘘。そんな虚構によって抑えられていた自己が夫婦との関係を通して変化する。当然夫婦も疑心を抱きながらも娘であってほしいと願い、曖昧さを保ったまま育まれる絆に虚構では抑えられぬ感情がナンシーに芽生える。
そんな偽りではない光がとても温かい。

ポスターからして不穏を匂わせてるし重苦しい雰囲気もあるけど全然そんなんじゃなかった。〝どうかこのまま〟な僅かな願いが観てるこっちにまで伝わる様な。なるほど未体験だわw
嘘に塗れながらも心からの笑みが溢れる瞬間、アンドレア・ライズボローの繊細な演技、両面併せ持った魅力も良い。

この前、北朝鮮に旅行した〜とか、妊婦装ったりとかバレるバレない関係なく、悪意もなく嘘をつく。
もうちょい程々に気を引く嘘つけば良いのに〜とか思ったけどwその匙加減すら麻痺しちゃったら危険やな〜ってw