菅藤浩三

Ryuichi Sakamoto: CODAの菅藤浩三のレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)
3.5
 ドキュメンタリー構成の記録映画で、興行用ではない。が坂本龍一をずっと見てきたファンにとっては、東日本大震災後にガンになった坂本龍一が何を考えてどういう行動をしているかにダイレクトに接することができるので、必見の作品(教授が実際に赴いたフクシマの映像もいっぱい出てます)。
 ところどころコラージュのように、YMO時代の東風のライブ映像がでてきたり、戦メリのぎこちない演技も出てきたりと、全体を俯瞰できます。
 ソ連の映画監督タルコフスキーの’’惑星ソラリス’’の音の使い方に映画製作の際は影響を受けたという話は初耳でした。共産圏まで聞いていたのは、いかにも全共闘世代の教授らしい。
 シェルタリングスカイのテーマスコアを録音開始する直前に「気に入らないから書き直して。エンニオモリオーネ(ニューシネマパラダイスほかの映画音楽で有名)はやってくれたよ!」と無茶ぶりするベルトリッチ監督の無茶ぶりエピソードに苦笑。わずか30分で要請に応じた教授もすごい。
 ラストエンペラーの製作に参加するよう召集された際、わずか1週間で45曲つくって用意したというエピソードにも(ちなみに、テーマ曲で教授はアカデミー賞とゴールデングローブ賞の作曲賞を共同受賞してます)。
菅藤浩三

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