じぇれ

アトミック・ブロンドのじぇれのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
3.5
重要機密を巡る各国スパイの諜報戦!

本作の本質はこの1行に尽きます。決して爽快な脳筋アクションではなく、アクションの激しい頭脳戦です。これからご覧になる方は、これだけは押さえておいた方がいいでしょう。

さて、その出来映えですが、残念ながら「惜しい」と言わざるを得ません。頭脳戦にあるべき緻密さが、派手な演出の数々で潰されてしまっているという印象です。

80年代ポップスを使ったMTV風演出は一見スタイリッシュですが、核となるはずの頭脳戦が前面に出るのを阻害しています。

また、フォーカス外でチラチラ映る乳首も、重要であるはずのヒロインの表情演技の邪魔になっています。
だって、おっぱいが映っていたら、顔なんて見ないでおっぱいを見ちゃうじゃないですか!(笑)

1カット1カットは非常に丁寧に撮られていて、MTV感覚で観るには、本当にカッコいい作品です。
しかし、デビッド・リーチの過剰なサービス精神が仇となり、ただでさえ複雑な人間関係が余計に理解しづらくなっています。
結果、上映後に耳に入ってきた観客の感想は「わからない」ばかり。ラストシーンで真相を明確にしているにも関わらず、事実誤認をしている方が多くいらっしゃいました。
これは、ストーリーテリングよりも、過剰なスタイリッシュさにこだわった演出のせいです。

実際には、女性スパイの悲哀も描かれていて、なかなか見応えのある”回想シーン”なんですけどね。

ん? 「”回想シーン”って何?」と思われたアナタは、是非映画館に行って下さい。
”回想シーン”という視点で、もう1つ書きたいことがありますが、それは↓のネタバレコメントにて。

という訳で、見応えのある野心的な作品ながら、脚本と演出の相性が悪く、惜しい作品となってしまったというのが、私の感想です。

※↓のネタバレコメントでは、本作ともう1作某有名作のネタバレをしています。1つ目に作品名を記しますので、そちらを未見の方もご注意下さい。
じぇれ

じぇれ