むさじー

ミッドナイト・バスのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイト・バス(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<新潟発:壊れた家族、男と女の再生物語>

男の優しさから生まれた気持ちの揺れが物語の軸にあるのだが、それが女のエゴと衝突したとき、男の甘さが一気に露呈してしまう。
優しさというのは、甘さ、弱さを隠しながら、裏には偽善や狡さがあったりして、究極はエゴなのではないかと思えたりもする。
利一は優しいが故に、ときに考え過ぎて臆病になる。
美雪に対しては幸せ薄い様子への同情、それを生んだのが自分の至らなさという負い目だが、ここまで負い目に感じる必要はないだろう。
志穂に対しては、まだ30代という若さに責任は負えないという、迷った末の逃げにしか見えない。
映画は、うまく噛み合わず、壊れてしまった人間関係をいかに修復するか、その再生の物語である。
紆余曲折はあるが温かさに満ちている。
男の優しさと臆病さを余すところなく演じた原田、子を捨てた母の切なさが漂う山本、一途で健気な(その重さ?が泣かせる)小西、役者が皆よかった。
やや長尺に過ぎることと、結末のつけ方に省略し過ぎの感があることを除けば、丁寧に描かれた感涙必至の秀作である。
むさじー

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