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ゲルニカのmhのレビュー・感想・評価

ゲルニカ(2016年製作の映画)
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人類初となる無差別空襲(スペイン・バスク地方・ゲルニカ空襲 1937年4月26日)と、その第一報を行ったジャーナリストを題材にしたエンタメ戦争もの。
フランコ政権が成立する前のスペインは、スペイン人民戦線(ソ連の傀儡政権)がスペイン共和国を支配していて内戦状態に置かれている。(フランコは反乱軍側)
作中、ジャーナリストを検閲しているのは政府サイド。本国ソ連で大粛正やってるスターリンに影響されてか力でねじ伏せている。悪名高き異端審問をやってた国なので、苛烈な支配に傾いてしまうのは想像に難くない。
ファシストと蔑まされているのは台頭していたフランコ主義者たち。
フランコはドイツ軍に依頼して、共和党軍の要衝のバスク地方ゲルニカを空襲させる。(共産主義者への弾圧が激しいナチスドイツにとってこれは願ってもないことかもしれない)
市民に拷問とかするスペイン共和国はひどすぎだけど、自国を空襲させるフランコもそうとうひどいという、説明されてもすぐにはわからんような複雑な状況。
いいものVS悪ものの二元論ではなく、悪ものその1と悪ものその2という構造。そのあたりをこの映画はかなりうまく説明していると思う。個人的にはこのくらい難解なほうが、ググり甲斐あって楽しい。
情熱を失っている有名ジャーナリストと、仕事で検閲しているが本心は違うヒロインという人物配置。
登場する悪そうなドイツ軍パイロットは赤い悪魔ことリヒトフォーフェンのいとこ(まぎわらしい!)だったり、キャパやピカソの話題が出たりと賑やかでいいね!
パーティーシーンで地味に長回ししてるのも効果的だった。
テルミット焼夷弾が初めて落とされた空襲とのことだったが、映像では爆弾ばかりで、それらしきものが降ってこなかったのが唯一残念だった。
スペインが舞台の戦争映画って、ほんと少ないんだよね。そういった意味でもありがたい。
すげー面白かった!
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