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ブーベの恋人のROYのレビュー・感想・評価

ブーベの恋人(1963年製作の映画)
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戦後の揺れるイタリアを舞台に綴られたれ珠玉のラブロマンス

第二次世界大戦直後の北イタリア。マーラの家に同胞の青年ブーベが兄の戦死を知らせに現れる。ふたりはすぐに愛し合うようになるが…。

HDリマスター版だと思われる

■STORY

【ネタバレあり】

第二次世界大戦末期の1944年秋、トスカーナの村娘マーラの家を、対独パルチザンで戦死した兄の同志ブーベが訪れる。息子のようにブーベをかわいがる共産党員の父と、冷たく遇する母。マーラは、ファシストを倒した英雄であり純朴なブーベを自然と恋するようになった。やがて、ブーベは憲兵とのいざこざから殺人容疑で追われる身に。国外逃亡から帰国したところを逮捕、起訴される。その逃亡中、マーラは働きに出た町で別の青年ステファノを知り、惹かれ合うようになったのだが、傷心のブーベが自分を必要としていることを悟り、ステファノと決別。「ブーベの恋人」であり続ける道を選ぶ。

■NOTES
原作はカルロ・カッソーラの同名小説。

「ブーべの恋人」は、クラウディア・カルディナーレによる同作の主題歌のタイトルでもある。

撮影は、アントニオーニやフェリーニの作品にも参加したジャンニ・ディ・ヴェナンツォ。木の下でキスするシーンとかアントニオーニの『夜』と瓜二つだったしな。

「イタリアではまだ、もっとクラシックなスタイルの撮影でした。フェリーニと『甘い生活』まで一緒に働いていたカルボーニやマルテッリといった仲間たちがそうですね。一方で違ったアイデアをもった撮影監督たちも出てきた。白黒においてはジャンニ・ディ・ヴェナンツォなんかがそうです。しかしこの独自の美意識を持った白黒のイメージは、照明を実際の雰囲気や環境に溶け込ませることで特徴的なクオリティを実現するものでした。映画撮影術というものはどんどん大事なものになってきていて、映像とストーリーをきっちり共生させなくてはならなくなったんです。」(『シネフィルWOWOW』「撮影監督が語る……タルコフスキー『ノスタルジア』-ジュゼッペ・ランチ:光のかたち、ロベルト・アイタによるパレルモでのインタビュー(2001年)-」03/04/2015 から抜粋)

菅谷誠さんの「マーラとナーダ:二人の『ブーベの恋人』」という記事も面白かった。

■THOUGHTS
ファシストに詰め寄るシーン迫力すごかったな。

「ブーべの強気な態度は不安の裏返しだった。ずっと不安だったのだ。私は思った。彼を慰さめ、守ってあげたいと。」

やっぱ本場の“Ti amo”とか“Amore”はいいね。

マーラに抱きしめられているけど、マーラの右肩から見えるブーべの目はどこか遠くを見つめている。
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