ブタブタ

ヘルタースケルターのブタブタのレビュー・感想・評価

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
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この映画がカルト映画にならないのは曲がりなりにもヒットして、蜷川実花と沢尻エリカって人が圧倒的にメジャーでカテゴリー的にはディズニーとか表の日が当たる世界の方に属してる(沢尻さんは過去形)人間だからだと思う。
酷評の割には物凄く好きだって言う人も多くて僕も紀里谷和明『CASSHERN』と同じくらい好きな映画でコレぞカルト映画だと思う。

写真家・蜷川実花展に行った時、特に、というより圧倒的に素晴らしかったのは芸能人始め有名人著名人を撮った《ポートレートシリーズ》
だった。
この写真の世界をそのまま映画にして動かす事が出来たらさぞかし凄い事と思ったけどこれらは写真という静止画だからこそこの世に顕現した世界であって動かすのはどんな凄い映像作家が居ても無理だろうと思った。

ただ蜷川実花監督作品の現時点五作品の中でこの『ヘルタースケルター』が最も蜷川実花の《ポートレートシリーズ》を映像化した物に近い様な気がする。
映画としての出来とかは全く関係なく。
ただ見るべきは蜷川実花美術と沢尻エリカ周りの所だけ。
他は酷すぎて正視に耐えない。

岡崎京子の原作『ヘルタースケルター』は今更言うまでもなく伝説的漫画作品。
連載直後に岡崎京子先生は事故に合い現在に至るまで事実上の引退。
岡崎京子作品にはデヴィッド・リンチ作品からの引用、インスパイアが見られ交通事故で脳が飛び出してるのになくしたアクセサリーを必死で探してる女性(『ワイルドアットハート』)とか、ヘルタースケルターでもツインピークスの《赤い部屋》が登場する。
麻田検事はどう考えても大森南朋じゃないよね。
ポエティックなセリフを並べるけどアレはカイル・マクラクランばりの美男子が言ってるから許されるのであって大森南朋じゃないよ~。
それから最も言いたいのはりりこのマネージャー和田、何で寺島しのぶ???
恋人の綾野剛とご飯食べてるシーンなんてお母さんと息子に見える。
それと折角のりりこのと和田の「カラミ」沢尻エリカと寺島しのぶのそんなシーン何て誰が見たい?
コレだけは怒りすら湧いて寺島しのぶが出てるシーンは顔背けて全部早巻きにしたんだけど。
それくらい見るに耐えない。

りりこは沢尻エリカ以外に有り得ないくらいのハマり役だったし蜷川実花美術も作品世界にこれ以上ないくらい合ってたし、しかしそれ以外が全然ダメダメ。

りりこが自分の目を刳るシーンは記者会見会場でやったのは唯一の実写版改変でよかったところ。
そしてラストの《見世物小屋》
映画では六本木辺りにある地下クラブみたいなキレイさだったけど、アレは原作通りにこずえがメキシコで撮影中に現地の其れこそ日本にはない本物のフリークスだらけの《見世物小屋》の中の一室に眼帯付けた、そして恐らくは身体が崩れ始めてるりりこが居て
「タイガー・リリィの奇妙な冒険の旅が始まっていた。しかしそれはまた別の機会に。to be continued」
でTheENDをやって欲しかった。
せっかくマメ山田さん迄いるのに。

しょこたん(中川翔子)がブログに単なる食事会を「エリカ様と沢尻会」と冗談で書いた事から「エリカ様」という渾名と「沢尻会」という存在しない集団が世間で独り歩きしてしまったのは甚だ不幸。

映画祭や舞台挨拶にパンスケ(死語)みたいな格好で行ったり「別に」発言とかは事務所が沢尻さんをコントロール出来てなかったからだとの意見が。

挙句は薬物所持で大河ドラマも降板し、このまま沢尻さんの復帰はないと思われる。
御本人はもう芸能界なんかに興味無いかも知れないけど。

それから哀川翔演じるプロデューサーとりりこが仕事の為に寝るシーンで「奥さんとお嬢さんによろしく」ってりりこが言うが、哀川翔のリアル娘は今や大河ドラマ(鎌倉殿)に出てて沢尻さんは降ろされたって何か因果を感じる。
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