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ヘルタースケルターのKAJI77のレビュー・感想・評価

ヘルタースケルター(2012年製作の映画)
3.8
"ダーク・メルヘン"という唯一無二のジャンルの体現者、「蜷川実花」の存在を世に知らしめた映画、『ヘルタースケルター』(2012)を鑑賞しました…!💄👠👗

これほど独りよがりで奇抜な作風なのに、一体どうして1つの映画作品として成り立つのか?
それは一重に雑木林に塗られた蜜のように目を引く鮮やかなポスターの為か…?
それとも、"沢尻エリカ"という絶世の美女の圧倒的なスター性を拠り所にしているのか…?

否、その答えはこの作品の骨格でもある、蜷川監督の人生哲学そのものにある気がします。

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「知性なき美は、囮なき罠の如し。」
『タルチュフ』モリエール (1622~1673)


命題 : "美"とは一体何か?


作中の沢尻エリカ扮するトップモデル「りりこ」と、彼女の妹との会話の中に、とても興味深いセリフがありました。


「お姉ちゃんは…強いから。
強いからお姉ちゃんは綺麗になったんだよ。」

「違うよ千加子。綺麗になれば強くなれるんだよ。」


地球上の全生物の中でもずば抜けて繊細な美的感覚を備え持つ我々人類にとって、これはとても大きな問題ですが、梶岡としては前者の考えを支持しています。

綺麗になろうと努力している人は誰しも、内包しているその"プロセス"が、そもそも美しい…!
その美しさは、外的要因を何一つ介さない崇高な段階においてのみ知覚できる、"精神的な勝利"へと向かうものだと確信しています。
その証拠に、英語の"beauty"という言葉は、ラテン語の"venustas"すなわち「美の女神」(英語の"Venus"にあたる)と語源を同じくする単語であり、その定義はインビジブルな"神"になぞらえられたものなのです。

本当に美しい人とは、アポステリオリな自分の変化を素直に受け入れ、その中で努力できる人物の事なのだと、今作を観ていて再確認できた気がします…!✨

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【p.s.】
つい先日、以前お付き合いしていた女の子から久々に電話が掛かってきて、ちょっぴり嬉しかったものの、このレビュー書きながらよくよく思い返すとあまりの虚無感と自分の情けなさに笑いがこみ上げてきて、"ヘルタースケルターな"梶岡でした…。🙃
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