カント

地球最後の秘境 南極大陸のカントのレビュー・感想・評価

地球最後の秘境 南極大陸(2007年製作の映画)
3.9
マジで地球ヤバいって!人類…自分、何してくれとんねん!…を実感できる南極ドキュメント。カナダ南極観測隊430日の記録。

▼2005年。南極半島のメルキオール諸島。かつてアルゼンチン観測隊が作った古い調査基地(コテージ)を利用するカナダ南極観測隊。
3月2日、イリサール砕氷船が物資を届けに来る。それに乗って帰らなければ最悪の場合9ヶ月間、船の中に閉じ込められた生活を強いられる(南半球と北半球は冬と夏が逆転)
▼映画の触れ込みでは「13人の隊員に密着」と有るが厳密には密着ではなく、カメラマンも音響技師も13人の隊員のメンバーだ。
その他に潜水夫、船医、整備士、料理人、科学者、心理学者など覚悟を決めたエキスパートが南極越冬を決意する。
葛藤が無い訳じゃない。家族に会えない不安。何げない事でイライラするヒステリー。果ては…殺される妄想。
閉鎖空間で正気を保つのは難しい事だ。
▼食料24トン。チョコに豆に肉、その他諸々。トマトペーストだけで200キロ。「ブラディ・マリー飲み放題な(笑)」陽気な隊員達。
船のデッキは4℃。冷凍肉は溶けてしまう。氷の中で保存する隊員。
▼メルキオール諸島の湾内に停船して海面が凍るのを待つ。
6月になっても凍らない海。嵐が来れば岩礁に船がぶつかる!(ほぼ前半は岩礁と船との格闘)
▼8月に、やっと凍る海。氷が有害な太陽光線を遮断して海洋生物に恩恵をもたらす(太陽光線がプランクトンの細胞を破壊する)
この世の物とは思えない美しい海洋生物の数々。
▼ウェッデルアザラシの新生児。母アザラシが育児放棄。人間は手を貸さない。ただ見守るだけ。
皇帝ペンギンが凍らない海を見つめる。暖かい南極。この景観の変化は人間の仕業。人類は自分たちの生活に及ぶ影響を知って、やっと目を覚ました所。
▼カナダ南極観測隊は歴史も浅いので、過酷なサバイバルっぽいけれど…日本の南極観測隊の昭和基地は、床暖房もあるし、けっこうヌクヌクと観測しているそうです。
邦画まったり系の秀作「南極料理人」は北海道でロケした映画だけど、ヌクヌクっぷりは良く伝わりますね。
………南極に行きたい😊
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