垂直落下式サミング

全員死刑の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

全員死刑(2017年製作の映画)
4.7
気を抜いていたらこちらに殴り掛かってきそうな気性の荒い不穏な緊張感。画面にうつるDQNたちの生態調査を開始。すると、どいつもこいつもろくでもないクソ野郎だけど、全員死刑ならいっかと爽快に観終えることができた。
急にハイテンションになり、急にコメディ調になり、急にゾッとさせる。退屈な瞬間が1秒もないエンターテイメント作品だ。菅原文太とか松方弘樹が主演したかつての実録犯罪ものをみているような、それでいて今この時代に生きる活力を感じさせるようなエネルギッシュな一作である。
本作では、主人公の方言がちょっとイントネーションおかしい時があるんだけど、それがこの物語には効果的で、主人公は地元や家族にとらわれている人で、それ以外の生き方を知らないし出来ないから、必死に無理をして「家族を守る」という目的を正当化し、徹底して受動的であることで、「組の跡目」としての自分を演じているかのようにみえた。
ところで、中部地方の方言ってやたら威勢がいいくせに後閑がカッコ悪くて恥ずかしい。名古屋弁なんて若者言葉と組合わさると本来は持っていたであろう気品を欠片も残さないし、我等が三河弁や本作の静岡弁は、ガラが悪い上に幼稚な言葉に聞こえてしまう。
まぁ、語尾が「だら」「ずら」ならまだマシで、「ずれぃ」になると、もうヘドロみたいに汚い。ラブライブサンシャインなんて幻想だ。明日からも意識して標準語を喋ろうと思う。