芹沢由紀子

全員死刑の芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

全員死刑(2017年製作の映画)
3.6
小林監督は「孤高の遠吠え」以降、「GIVER」と「スカム」しかドラマを見ていなかったので、これが2作目の映画。
好き。
私の好奇心を満たしてくれて、衝撃を与えてくれた。そしてとても見やすいしわかりやすいし、丁寧。ありがとう。

ルポライターの小野一光氏の当事件のルポ記事を読んでから見たので、かなり事件に忠実に作られたんだなあと感心しました。
だけど、やはり映画的なエンタメ要素も詰め込まれていて、今っぽさを加えてあり、よかった。
タカヒロの当時の彼女は17才だったみたいだけど、このカオリ?との関係性もなかなか良い。
サトシ役の毎熊さん、本物のサトシにしか見えないの、すごい!
間宮祥太郎は美形すぎてリアリティには欠けているけど、主人公としては華やぎがあり素敵。

実在の事件を美化していいわけではないけど、一家全員が死刑判決という日本犯罪史上に残る凶悪事件を、こんな風にシニカルに面白おかしく仕上げられるのってすごい勇気だな。
しかも、作中では「お前ら全員死刑じゃ!!」ってセリフがあんな風に使われているところもハハ~~~~ン!!とうなった。
主人公に美形俳優を配して、悲劇の人っぽく寄って描いているけど、じつは本当に本人も憎めない悲劇の人だったのかもな、と思わせてくれる力があった。

主人公のファッションが、基本長袖Tシャツと白Tシャツの重ね着なんだと思っていたら、実はアームカバーだったとか、お洒落なお化け屋敷みたいな死体の造形とか、亜人みたいな幻覚など、サービスショット多め。
街の感じも、鈍いさび色で統一感があって、モブがほとんど登場しないのは計算された演出なのか?
ところどころに挿入されている変な曲も、制作陣のオリジナルみたいだし、手が込んでいた。

父親テツジもぼやいていたけど、人ってそう簡単に殺せないんだね(というか死なない)そこら辺の映画の殺人シーンが、いかに嘘っぱちかを教えてくれる映画。