漫画の神様といえば、手塚治虫ですが、漫画の始祖である北沢樂天は、あまり知られていない。
過去と現在、二つの時間軸を行き来しながら、構成する手法は「海賊と呼ばれた男」なのでも使われたが、過去を振り返る中で、現在の物語に徐々に徐々に繋がっていく流れが実に心地良く、シンプルにひとつのラインを順に追っていくよりも、物語の主役の人物や、そこに関わる人々の変化が分かりやすく感じ取られ、なおかつ本作の舞台は大正から昭和にかけての、時代の大きな変換期であったことからも、より際立ってくる。
全編通して、何かとても大きな浮き沈みがあるわけではないですが、出てくる人物人物の特徴をそれこそ漫画的によくキャラクター付けられているので、その人物達の想いや企みや動きが交差する、ある種群像劇的にも近い雰囲気がとても良い。
また、創作をやられる方には共感できるであろう展開や、ハタと膝を打つ言葉の数々にも注目したい。
「クールワールド」などの映画で展開された、作中にアニメーションを取り入れる手法など、見てみたいところもしっかりと押さえてくれている辺りが満足。
ちょろっとではありますが、手塚治虫が出てくるところはやっぱりテンションあがりますね。